今の易とは違う易
『帛書易経』と呼ばれるものがあります。馬王堆漢墓から出土した、紀元前2世紀ごろの『易』です。
今、私たちが目にする『易』は、240年頃に王弼が注釈をつけた『易』を元にしています。
ですので、さらに400年ほど前のテキストです。
今、私たちが目にする『易』は、240年頃に王弼が注釈をつけた『易』を元にしています。
ですので、さらに400年ほど前のテキストです。
卦の数は同じ。原文もほぼ同じですが、いくつか大きな違いがあります。
爻の形の違い
⚋がハのような形をしています。
八卦の名前の違い
| 今の八卦 | 帛書の八卦 |
|---|---|
| 乾 | 鍵 |
| 坤 | 川(巛) |
| 艮 | 根 |
| 震 | 辰 |
| 坎 | 贛 |
| 離 | 羅 |
| 兌 | 奪 |
| 巽 | 筭 |
六十四卦の名前と並びの違い
今の上経・下経はなく、外卦ごとに八つの「宮」に分けられています。
鍵宮(外卦:乾)
鍵(乾)→ 婦(否)→ 掾(遯)→ 禮(履)→ 訟 → 同人 → 无孟(无妄)→ 狗(姤)
根宮(外卦:艮)
根(艮)→ 泰蓄(大畜)→ 剝 → 損 → 蒙 → 繁 (賁)→ 頤 → 箇(蠱)
贛宮(外卦:坎)
习贛(習坎)→ 襦(需)→ 比 → 蹇 → 節 → 既濟 → 屯 → 井
辰宮(外卦:震)
辰(震)→ 泰壯(大壯)→ 餘(豫) → 少過(小過)→ 帰妹 → 解 → 豐 → 恒
川宮(外卦:坤)
川(坤)→ 泰 → 嗛(謙)→ 林(臨)→ 師 → 明夷 → 復 → 登(升)
奪宮(外卦:兌)
奪(兌)→ 夬→ 卒(萃)→ 欽(咸)→ 困 → 勒(革)→ 隋(隨)→ 泰過(大過)
羅宮(外卦:離)
羅(離)→ 大有 → 溍(晉)→ 旅 → 乖(睽)→ 未濟→ 筮盍(噬嗑)→ 鼎
筭宮(外卦:巽)
筭(巽)→ 少蓺(小畜) → 観 → 漸 → 中復(中孚)→ 渙 → 家人 → 益
十翼がない
十翼はありませんが、6つの易の解説が一緒に出土しました。
いずれも孔子の言葉として構成されており、大まかには次のような内容です。
- 二三子問篇
- 二三子の問いから始まる、孔子による龍と一部爻辞の解説。
- 繫辭篇
- 孔子による『易』の世界観と、一部爻辞の解説。十翼「繫辞伝」と重なる内容も見られます。
- 衷篇
- 孔子による『易』の解説。
- 要篇
- 孔子の『易』に対する考えや扱い。
- 繆和篇
- 繆和らと孔子による質疑応答。
- 昭力篇
- 昭力と孔子による質疑応答。
他の違い
「孚」が「復」だったり、「征」が「正」だったりと、細かな違いはまだまだあります。
原文を『帛書易経』の字で再検討してみるのも面白い作業です。
また、六つの易伝に目を通す限り、
十翼の説く、太極からはじまる宇宙観、卦の並びの必然性、天・地・水・火といった八卦のイメージ。
これらの記述は見られません。
原文が書かれた時点で加味されていたわけではないことがうかがえます。
ということで、『易』を読む上で重視すべきは卦の形と原文!
という結論に至りました。
まぁ、わざわざ『帛書易経』を調べなくても、朱子が同じことを言ってるんですけどねぇ……。
