易の読み方

読んでいて「どゆこと?」となったとき、参考になるのが先人の読み方です。いろいろな読み方がある中から、主だったものをご紹介します。

とはいえ、易を読むルールではありません。ご紹介する読み方に無理やり当てはめようとすると、その卦のテーマがつかめなくなることもあります。ちなみにこのサイトの読む方針はこちらにまとめています。

象で読む

卦の形(など)、そこから連想されるイメージ、原文にある雨・虎・男・女などの言葉を「象」と呼びます。
卦の形からテーマを読み解いたり、原文の言葉をメタファーとして捉える読み方です。

循環で読む

めぐり

(乾)→(姤)→(遯)→(否)との力が下から徐々に強くなり(坤)に至る。
今度は(復)→(臨)→(泰)とが強くなって(乾)へ」。
この一連を循環とする読み方です。

・卦辞「小往きて大來る」や・卦辞「大往きて小來る」も、
「小()の力が弱まり、大()の力が増していく時」
「大()の力が弱まり、小()の力が増していく時」
と読み解くことができます。

卦の形から読む

「頤」「革」「井」「鼎」などの卦は、その形と卦名・テーマが重なるとされます。

頤
開いたくちの形とされる「頤」
頤はあごの意。養うことがテーマ。
革
なめした革の形とされる「革」
あらためることがテーマ。
井
井戸の形とされる「井」
資源の扱いがテーマ。
鼎
鼎の形とされる「鼎」
賢人を養うことがテーマ。
易にはもともと文字はなく、卦の象だけで占っていたとされます。卦の形から読み解くのは一番ルーツに近い読み方とも言えます。

八卦のイメージから読む

八卦にはそれぞれ連想されるイメージがあります。

天

晴れ・健やか・剛・進む・暴走
全てから連想されたのが天です。パワフルに進みますが、暴走につながる危うさもあります。

沢

悦び・和・娯楽・軽率
水()をがとどめる形から沢。沢は生き物が集まる場であることから、和や喜びにつながるとされます。しかし同時に、慢心や軽率さにつながるともされます。

火

つく・かかる・親しむ・のぼる
中心のに火()がつくイメージです。火は何かにくっついて燃えますが、つくものによっては害を生むこともあります

雷

地震・動く・震える・衝動・事件
雲()から雷()がほとばしる、といったところでしょう。一気に動く雷は、 瞬発力を求められる場合には良いですが、息切れもしやすいです。

風


入る・へりくだる・木・不決断
木()の間を風()が吹き抜けるイメージでしょうか。中に入り、従う場面ではうまくいく反面、決断を迫られると優優不断になりやすいです。

水


穴・困難・落ちる・苦しみ・危険
二つのの間にがある形から、水や穴が連想されます。はまると抜けにくく、ままならない時を表しますが、人を大きくする試練の時ともされます。

山


止まる・頑固・悠然
上のが空で二つのが山。動かず、窮地でも焦らず事に対処します。反面、動かないことが仇となることもあります。

地


順・弱い・柔・夜・落ち着き・抑圧
全てがである坤から地が連想されました。受け入れ、従うことで力を発揮しますが、行き過ぎれば他者への抑圧にもつながります。

経過で読む

初爻から上爻までを力をつけていく過程や、時間の経過と捉える読み方です。

経過1
力をつけていく過程と読まれる代表例がです。
他にもなども同じように読まれます。

経過2
は時の経過として読まれる卦です。

爻の位置と関係で読む

爻の位置や他の爻との関係から、役割や良し悪しを読む方法です。

中 理想の位置

内卦と外卦の中央(二・五爻)は中位とされ、「中」が保てている位置とされます。爻辞も比較的良い内容が多いです。
また初爻・四爻は不足、三爻・上爻は過剰の位置とされます。

中

近くの人との関係

比はとなりの爻との関係です。のペアであることが好ましいとされます。
「既済」「未済」は全ての爻が比の関係にあります。
比

またの上にがあることを「乗る」と言い、良くない関係。が下でが上の場合を「承ける」と言い、良い関係とされます。

応 遠くの人との関係

応は遠くにいる人で、初爻と四爻・二爻と五爻・三爻と上爻との関係です。
こちらも比と同様、のペアであることが好ましいとされます。
「既済」「未済」は全ての爻が応の関係にあります。

応

正・不正・中正・不中正

初・三・五爻は、二・四・上爻はである場合を「正」、そうでない場合が「不正」と言います。位置と性質()が合っているとする見方です。二爻・五爻は中位であることから「中正」「不中正」と呼ばれます。
ちなみに6爻全てが正である「既済」は「事が成った後」、全てが不正である「未済」は「事が成らなかった後」がテーマの卦です。
正不正

位 爻の立場

五爻は君主、四爻は重臣、三爻を君主には近くないが高い地位の諸侯、二爻を在野の君子、初爻を庶民、上爻を地位のない人とする読み方です。
「大有」はこの見方で読むことが可能です。扱うテーマは「大いに所有する」ことです。

位

分けて読む(おまけ)

先人の原文解釈の中に卦のテーマを分けて読むものがありましたので、ご紹介しておきます。
読みあぐねた際などに、分けて読んでみるのも面白いです。

二つに分けて読む

卦のテーマを内卦と外卦の二つに分ける読み方です。「需」がその例です。
二つに分ける

六つに分けて読む

卦のテーマに対して、爻辞が六つのケースとして示されているものがあります。
「噬嗑」はそうした読み方をされてきました。

六つに分ける

十翼

易の解説書でもっとも権威があるのが十翼です。儒教の経書としての「易経」は原文と十翼が一体となっています。
ご紹介した読み方も十翼を参考にしているものもあります。

彖伝たんでん 上・下
卦辞(全体の意味)の解説
象伝しょうでん 上・下
卦の象と爻辞の解説。
文言伝ぶんげんでん
「乾」と「坤」の詳しい解説。
繋辞伝けいじでん 上・下
易の宇宙観や哲学的な意味などの総論。
説卦伝せっかでん
八卦の意味・順序・象の解説。
序卦伝じょかでん
六十四卦の並びの意味と必然性の解説。
雑卦伝ざっかでん
六十四卦から二卦ずつを取り上げ、対称的な意味を解説。

朱熹の読み方

最後に朱熹が易の読み方について述べた言葉をご紹介します。

えきるに、まささら卦爻かこううち道理どうりたずもとくべからず。まさにこの這箇しゃこ如何いかん処置しょちすべきか。
易を見るとき、卦爻の中に道理をさらに尋ね求めてはならない。卦爻が示すものをどのように処置するかが大事なのだ。

『朱子語類』巻七十三より

次に「易をどのように読んだら良いか?」を尋ねられての朱熹の答えです。

ただそのこころむなしくしてそのもとむるをようす。おのけんしゅうしてむをようせず。そのしょもまたしかり。
ただ心を空っぽにして、その意味を求めることだ。自分の考えにとらわれて読んではいけない。他の書も同じだ。

「朱子語類」巻六十七より