䷊泰
泰は上下が通じ合う時を扱った卦。否と対とされる卦です。
卦辞
泰小往大來。吉亨。
泰は小往きて大來る。吉にして亨る。
泰は小は往き、大が来る。吉。進んでいく。
小は⚋、大は⚊と見れば、⚊の勢いが増していく時期と読むことができます。
爻辞
初九

拔茅茹。以其彙。征吉。
茅を拔くに茹たり。その彙と以にす。征けば吉。
茅を抜けば根がつらなるように仲間と動きを共にしている。進めば吉。
茅の根のように仲間と進むといったところでしょうか。
- 茅:
- チガヤ。根がつながっている群生する草。
九二

包荒、用馮河。不遐遺、朋亡。得尚于中行。
荒を包ね、馮河を用う。遐きを遺わず、朋亡ぶ。中行に尚うを得たり。
荒々しさを包み、川を歩いて渉る無謀さも用いる。遠い者であってもないものとせず、近くの友であっても失うことを辞さない。そうした態度が中行を尊ぶことを得る。
- 馮河:
- 大河を徒歩で歩くこと。無謀さ。
- 遐き:
- 遠い者
九三

无平不陂、无往不復。艱貞无咎。勿恤其孚。于食有福。
平かにして陂かずはなく、往きて復らぬはなし。艱しみて貞なれば咎なし。その孚恤うる勿かれ。食において福あらん。
安定したものが傾かないことはないし、往ったものが帰らないこともない。苦しみながら正しくあれば咎はない。その孚を憂いてはならない。そうした態度であれば食において福がある。
六四

翩翩。不富以其鄰。不戒以孚。
翩翩たり。富まずしてその鄰を以にす。戒めずして孚を以にす。
軽やかに動く。富めなくても隣が共にする。戒められなくても孚を共にする。
小畜・九五では「富みて其の鄰と以にす」ですが、ここでは富めなくても隣が共に動いてくれます。
※「富まずして其の鄰…」は謙・六五にも同じ言葉があり、小畜・九五には対となる言葉もあります。
※「富まずして其の鄰…」は謙・六五にも同じ言葉があり、小畜・九五には対となる言葉もあります。
- 翩翩:
- 鳥が軽やかに飛ぶ様。
六五

帝乙歸妹。以祉。元吉。
帝乙妹を歸がしむ。祉を以にす。元いに吉。
帝乙が妹を嫁がせる。今ある幸いを共にする。大いに吉。
- 帝乙歸妹:
- 帝乙は殷の王で、紂王の父。上位のものが婚姻によって、勢いのある下位のものと交わる姿と思われます。
※歸妹・六五にもあり、この妹は十分な器量を備えた女性として描かれています。 - 祉:
- 神のとどまるところ。今ある幸いと解しました。
上六

城、復于隍。勿用師。自邑告命。貞吝。
城、隍に復る。師用うる勿かれ。自邑に命を告ぐ。貞なれど吝。
城が隍に復る。軍を用いてはならない。自邑に命を告げる。正しくても吝。
「城が隍に復る」は、積み上げたものが崩れることを表すとされます。
※「師を用うる勿れ。邑より……」と似た言葉が、夬・卦辞にもあります。泰からさらに⚊が積み上がったのが夬と考えれば、つなげて読むこともできる爻辞です。
※「師を用うる勿れ。邑より……」と似た言葉が、夬・卦辞にもあります。泰からさらに⚊が積み上がったのが夬と考えれば、つなげて読むこともできる爻辞です。
- 隍:
- 城の周りを囲う堀。
- 邑:
- 村や国、自領。
まとめ
内卦は勢いのある側、外卦は上にいて勢いを受ける側の身の振りについて描かれていると思われます。
卦の全体像
上六、城が隍に復る。軍ではなく命を告げる。
六五、帝乙が妹を嫁がせる。
六四、軽やかに隣と共に動く。
九三、良い時は続かない。苦しみながら正しくある。
九二、無謀に進む。遠い近いにとらわれない。
初九、茅のように仲間とともに進む。
