否はふさがる時を扱った卦。と対ともされる卦です。

卦辞

否之匪人。不利君子貞。大往小來。
はこれひとあらず。くんていあらず。だいきてしょうきたる。
否は、人の道ではない。君子の正しさでは良くない。大が去り、小が来る。
大を、小をとすれば、よりもの勢いが増していく逆転した時期です。君子の正しさが不利となる時期とされます。
※「人に匪ず」は比・六三にもあります。

爻辞

初六初爻
拔茅茹。以其彙。貞吉。亨。
ちがやくにじょたり。其のたぐいともにす。ていにしてきちとおる。
初爻のイメージ
抜いた茅の根がつらなるように、仲間と共にする。正しくあれば吉。やがて進んでいく。
泰・初九とほぼ同じ内容です。ただこちらは「貞にして吉」です。今は動く時ではないと見て良いでしょう。
茅:
チガヤ。根がつながっている群生する草。
六二二爻
包承。小人吉。大人否亨。
しょうぬ。小人しょうじんきち大人たいじんにしてとおる。
二爻のイメージ
もたらされたものを包む。小人は吉。大人はふさがる中でも進んでいく。
小人にとっては良い時期です。「大人は否にして亨る」はふさがる中でも、大人は否が終わる時に備える、といったニュアンスかと思われます。
六三三爻
包羞。
しゅうぬ。
三爻のイメージ
恥を包む。
否の時期をどうにもできない状況を恥じている、といったところでしょうか。 六二の大人と対比で読むと面白いです。
羞:
九四四爻
有命无咎。疇、離祉。
めいありてとがなし。たぐいかん。
四爻のイメージ
命があるから咎はない。仲間と今ある幸いにつく。
ここでの「命」は否の時が続かないことと思われます。
祉:
神のとどまるところ。今ある幸いと解しました。
九五五爻
休否。大人吉。其亡其亡、繫于苞桑。
む。大人たいじんきち。それほろびなんそれほろびなんと、苞桑ほうそうかかる。
五爻のイメージ
否の時がやみつつある。大人は吉。亡ぶかも亡ぶかもと恐れ、桑の木の根元につなぐ。
否の時はやみつつありますが『大人』であれば吉です。恐れと警戒がなお必要な危うい時期と見て良いでしょう。
苞桑:
桑の木の根元、群がり生えた桑ともされます。ここでは根元と見ています。桑は頑丈な木です。
上九上爻
傾否。先否後喜。
かたむく。さきにはふさがりのちにはよろこぶ。
上爻のイメージ
否の時期が傾いている。初めはふさがるが後には喜ぶ。

まとめ

爻全体が動かないことを勧めているように思えます。活躍できるのは小人ですが、ずっとは続かないようです。

卦の全体像

上九、否の時は傾く。

九五、否の時はやみつつあるも、警戒。

九四、仲間と祉につく。

六三、恥を包む。

六二、小人は吉。大人は否にして亨る。

初六、仲間とともにあり、正しさを守る。

互卦:綜卦:錯卦: