けん

乾は龍の姿に重ねて、内にある力が現れていく過程を示した卦です。

卦辞

乾元亨。貞利。
けんは、おおいにとおる。ていあり。
乾は、大いに進んでいく。正しくあれば良い。

爻辞

初九初爻
潜龍。勿用。
潜龍せんりゅうもちうるかれ。
初爻のイメージ
潜んでいる龍。動いてはならない。
龍が力を秘めながらも身を潜めています。龍にならって、育む前の力で動いてはならないとします。

龍:
龍は天にのぼり、雨雲を起こし、雨を降らす力を持つと考えられていました。
九二二爻
見龍在田。利見大人。
見龍けんりゅうでんり。大人たいじんるにあり。
二爻のイメージ
龍が田に現れる。大人に会うと良い。
龍が人目にふれる場に出てきましたが、飛びません。この段階では、自分より見識のある大人に会うことが良いとします。

田:
耕作地や狩場、人が拓いた場といったところでしょうか。耕すことや狩りをすることも意味します。
九三三爻
君子終日乾乾、夕惕若。厲无咎。
君子くんし終日しゅうじつ乾乾けんけんし、ゆう惕若てきじゃくたり。あやうけれどもとがなし。
三爻のイメージ
君子であれば一日中努め、夕には反省する。危うくはあるが咎はない。
力がつき始めた時期を『易』は「厲い」とします。この時期にこそ君子は努力を続け、日の終わりには省みる。そのようであれば咎はないとします。
九四四爻
或躍在淵。无咎。
あるいはおどりてふちり。とがなし。
四爻のイメージ
飛躍する力を持ちながら、なお淵に在る。咎はない。
飛躍する力を持ちながらもまだ龍は飛びません。実力があるだけではまだ咎があるようです。
淵に在って、時を待ち、力をつけます。

淵:
淵は魚などがいて水面もおだやかですが、入ると深く流れあって、命の危険が伴う場所です。
九五五爻
飛龍。在天。利見大人。
飛龍ひりゅうてんり。大人たいじんるにあり。
五爻のイメージ
飛龍。天に在り。大人に会うと良い。
力と時を得た龍が飛び、天に在ります。そしてここで再び「大人見る」です。もう一度大人に会うことに利があるとします。
上九上爻
亢龍。有悔。
亢龍こうりゅういあり。
上爻のイメージ
上りつめた龍。悔いが生じる。
力を発揮し終えた龍は、もう上ることはできません。「悔」は終わりに向かう兆しと見て良いでしょう。
用九、見羣龍无首。吉。
用九、群龍ぐんりゅうかしらきをる。吉。
用九、首を示さない龍たちを見る。そうした在り方が吉。
用九は『九を用いる』ですからの用い方と見て良いでしょう。大きな力を持ちながらも自らを示そうとしない龍たちがの理想です。

まとめ

乾卦はの基本です。他の卦を読み進めるのも、この卦と坤を参考に読み進めることになります。
注目したいのは「在る」です。首は示さないものの、自然と田→淵→天と「在る」場所が移っていきます。

卦の全体像

上九、上り詰めた龍。落ちゆく兆し。

九五、天に在る龍。大人に会う。

九四、淵に在る龍。淵に止まる。

九三、危うい時、君子は終日努力と反省。

九二、田に在る龍。大人に会う。

初九、潜む龍。

互卦:綜卦:錯卦: