䷮困
困は困る・苦しむ時を扱った卦です。
卦辞
困亨。貞大人吉无咎。有言不信。
困は、亨る。大人の貞にして吉。咎なし。言あるも信じられず。
困は進んでいく。大人の正しさがあれば吉。咎はない。言うことあっても信じてもらえない。
爻辞
初六

臀困于株木。入于幽谷、三歲不覿。
臀株木に困しむ。幽谷に入りて、三歳まで覿ず。
切り株に座り尻が落ち着かず苦しむ。奥深い谷に入り、三年は姿を見せない。
じっとしていられない心持ちです。ただ動けば幽谷に入ります。
- 幽谷:
- 奥深い谷
九二

困于酒食。朱紱方来。利用享祀。征凶。无咎。
酒食に困しむ。朱紱まさに來らんとす。用て享祀に利あり。征けば凶。咎なし。
酒食をしながら苦しむ。いずれは朱紱が来る。享祀をするのに良い。進めば凶。咎はない。
苦しい中で酒食です。天子が来るのを享祀しながら待つといったところでしょう。
- 朱紱:
- 天子の服。天子は天に代わって天下を治める人
六三

困于石。據于蒺蔾。入于其宮。不見其妻。凶。
石に困しみ、蒺蔾に據る。其の宮に入りて、其の妻を見ず。凶。
石に苦しみ、イバラに座る。宮に入っても妻には会えない。凶。
苦しい中、動き回っていると見て良いでしょう。
- 蒺蔾:
- イバラ
九四

来徐徐。困于金車。吝有終。
來ること徐徐たり。金車に困しむ。吝なれども終りあり。
ゆっくり来る金車に苦しむ。吝ではあるが終わりはある。
吝の理由はわかりません。九四に困の時を打開する力がないからでしょうか。九五を苦しめる赤紱だから、とも読めます。
- 金車:
- 通常は木でできている。金とするのは進みが遅いことを表しています。九二とも読めます
九五

劓刖、困于赤紱。乃徐有說。利用祭祀。
劓られ刖られ、赤紱に困しむ。乃ち徐に說びあり。用て祭祀するに利あり。
鼻を切られ足を切られ、赤紱に苦しむ。しかし、そのうち喜びがある。祭祀をするのに良い。
卦辞の「言あるも信じられず」と重ねて読めます。
- 劓:
- 鼻を切られる。面目を潰される意。
- 刖:
- 足を切られる。動けなくなる。
- 赤紱:
- 諸侯の服。
上六

困于葛藟于臲卼。曰動悔。有悔征吉。
葛藟に臲卼に困しむ。曰に動けば悔いあり。悔いありて征けば吉。
葛にからまり心も揺れて苦しむ。ここで動けば悔がある。悔いた上で進めば吉。
しがらみと動揺で苦しんでいる、といったところでしょう。
- 葛藟:
- 葛。しがらみの象
- 臲卼:
- 動揺。
まとめ
苦しい状況の中で、立場によってそれぞれ違った仕方で苦しんでいる時と読めます。
卦の全体像
上六、しがらみと動揺の中で苦しむ。
九五、部下に苦しむ。祭りをして待つ。
九四、助けの遅さに苦しむ。
六三、苦しみの中、動き回る。
九二、苦しみの中で酒食。機会を待つ。
初六、苦しみの中で落ち着かない。
