比は親しむことを扱った卦です。

卦辞

比吉。原筮元永貞、无咎。不寧方來。後夫凶。
きち原筮げんぜいおおいにながていにしてとがなし。やすらかざるもまさきたる。こうきょうなり。
比は吉。もとより占いは、大いに永く正しくあれば咎はない。安らかでない者も来る。後れる者は凶である。
蒙・卦辞と同じように占いが卦に重ねられているとすれば、占いだけでなく、人と親しむこともまた、「大いに永く正しくあれば咎はない」といったところでしょうか。
原:
「たずねて」と読まれることが多いですが、殷周代の使われ方を考慮すると「もともと」「もとより」と読む方が自然なようです。 そこで「もとより」と解すことにしました。
後夫:
後から来た者

爻辞

初六初爻
有孚比之。无咎。有孚盈缶,終來有它吉。
まことありてこれす。とがなし。ほとぎつるまことあれば、ついにはきちきたるあり。
初爻のイメージ
孚があって親しめば咎はない。缶に満ちるほどの孚があれば、終わりには思いがけない吉がある。
比のはじめです。『易』は、親しむ前提を「孚」としているのかもしれません。
它の吉:
思いがけない吉
六二二爻
比之自內。貞吉。
これすことうちよりす。ていにしてきち
二爻のイメージ
内より親しむ。正しくあれば吉。
内面より親しむといったところでしょう。爻辞が六四と対になっています。
六三三爻
比之匪人。
すもこれひとあらず。
三爻のイメージ
親しむにも人ではない。
卦辞の「寧らかざる者」でしょうか。
※「人に匪ず」は否・卦辞にもあります。否がふさがる卦であることを考えると、親しもうにも通じない親しみ方と見ることもできます。
六四四爻
外比之。貞吉。
外にこれす。ていにしてきち
四爻のイメージ
外に親しむ。正しくあれば吉。
九五五爻
顯比。王用三驅失前禽。邑人不誡。吉。
あきらかにす。おう三驅さんくもっ前禽ぜんきんうしなう。邑人ゆうじんいましめず。きち
五爻のイメージ
自身の親しみを明らかにする。王は三驅を用い、前に逃れる禽を捕えない。そのような態度で領民を戒めなければ吉。
九五は親しまれる者と見て良いでしょう。自身の親しみを明らかにして、親しまない者にも寛容であることが吉とします。
三驅:
狩の方法。前に逃げ道を作り、三方から獲物を追い立てる。 三驅のイメージ
上六上爻
比之无首。凶。
これすもはじめなし。きょう
上爻のイメージ
親しむにもはじめがない。凶。
卦辞の言う「後夫」でしょうか。
初六を踏まえれば、孚がないのに親しもうとしている、とも読めます。

まとめ

唯一のである九五に他の爻が親しもうとしている卦と読めます。

卦の全体像

上六、親しむにもはじめがない。

九五、比を明らかにし、去る者を戒めない。

六四、外に親しむ。

六三、人ではない。

六二、内より親しむ。

初六、孚に親しむ。

互卦:綜卦:錯卦:大有