もう

蒙は未熟。未熟な者が学ぶこと、教えることを扱った卦です。

卦辞

蒙亨。匪我求童蒙。童蒙求我。初筮告。再三瀆。瀆則不告。利貞。
もうとおる。われより童蒙どうもうもとむにあらず。童蒙どうもうよりわれもとむ。初筮しょぜいぐ。再三さいさんすればけがる。けがればげず。ていにしてあり。
蒙は進んでいく。我から童蒙を求めるのではない。童蒙が我を求めるのだ。筮いは初めは真実を告げる。しかし再三すればけがれる。けがれれば告げない。正しくあれば良い。
「我より童蒙を求むに匪ず。童蒙より我を求む。」は教える側への言葉。教えようとするのではなく、求められた時に応じるのが道理とします。
「初筮には告ぐ。再三すれば瀆る。」は、学ぶ側への言葉。答えが気に入らないからと何度も問い直してはいけない、といったところでしょう。

童蒙:
未熟な子ども

爻辞

初六初爻
發蒙。利用刑人。用說桎梏。以往吝。
もうひらく。もっひとけいすにあり。もっ桎梏しっこくく。もっけばりん
未熟さを明らかにする。まずは戒めを与えるとよい。その上で枷を解く。そのまま進めば吝。
未熟さへの対処の基本として見ても良いでしょう。
九二二爻
包蒙。吉。納婦吉。子克家。
もうぬ。きちるるにきちにしていえおさむ。
未熟な者を包む。吉。妻を迎えれば吉。子にして家を治める。
蒙を受け入れることが、婦を迎えることに重ねられています。
教える者と学ぶ者は、先生と生徒のような関係ではなく、夫婦のような関係が吉ということでしょうか。
そして「子にして家を克む」です。教える側もまた、未熟な者としてその役割を担う、といったところでしょう。
六三三爻
勿用取女。見金夫、不有躬。无攸利。
おんなめとるにもちうるかれ。金夫きんぷれば、たもたず。あるところなし。
妻として迎えるべきでない。金持ちを見れば、目移りして身を保てない。良いことがない。
未熟な者の中で受け入れてはならない者です。
卦辞の「再三すれば瀆れる」と重ねて読むこともできます。
六四四爻
困蒙。吝。
もうくるしむ。りん
未熟さに苦しむ。吝。
未熟さを受け入れられず、苦しんでいるといったところでしょう。
六五五爻
童蒙。吉。
童蒙どうもうきち
童蒙そのもの。吉。
六四とは違い、未熟を知り、素直に受け入れていると見て良いでしょう。
上九上爻
擊蒙。不利為寇。利禦寇。
もうつ。あだするにあらず。あだふせぐにあり。
未熟者を撃つ。攻める態度は良くない。未熟さの害を防ぐのが良い。
卦辞の「我より童蒙を求むに匪ず」を守れていないと見て良いでしょう。

まとめ

教える者は求められて応じ、学ぶ者は繰り返し問わない。教える者も学ぶ者も未熟を素直に受け入れる。耳の痛い内容です。

卦の全体像

上九、蒙を擊つ。

六五、童蒙。

六四、蒙に苦しむ。

六三、金持ちを見れば、身を保てない。

九二、蒙を受け入れる。

初六、蒙を明らかに。まずは戒め。

互卦:綜卦:錯卦: