䷂屯
屯は事のはじめの行き悩みを扱った卦です。
卦辞
屯元亨利貞。勿用有攸往。利建侯。
屯は元いに亨る。貞に利あり。往く攸あるに用うる勿かれ。侯建つるに利あり。
屯は大いに進んでいく。正しくあれば良い。行きたいところがあっても、動くべきではない。侯を建てると良い。
当事者が行き悩みを感じていたとしても、屯の時は大いに進んでいくとします。「侯建つる」は協力者を得ると見て良いでしょう。
爻辞
初九

磐桓。利居貞。利建侯。
磐桓たり。居りて貞に利あり。侯建つるに利あり。
大きな岩に囲まれて進めずにいる。とどまって正しさを守るのがよい。侯を建てると良い。
- 磐桓:
- 大きな岩に囲まれている。動けないさま
六二

屯如邅如。乘馬班如。匪寇婚媾。女子貞不字。十年乃字。
屯如たり邅如たり。馬乘りて班如たり。寇するに匪ず婚媾せん。女子の貞にして字まず。十年して乃ち字む。
行き悩んで、行ったり来たり。馬に乗るも、ぐるぐる巡るだけで進まない。
敵対ではなく婚姻する。女子が正しくあっても、すぐには子を成さない。十年して成す。
馬を協力者と見ると、協力者を得てもなお状況は行き悩みです。
それでも敵対するのではなく、結びつくことが求められます。
「寇すに匪ず…」は賁・六四、睽・上九にもあります
「寇すに匪ず…」は賁・六四、睽・上九にもあります
- 屯如:
- 行き悩むさま
- 邅如:
- 行ったり来たりするさま
- 班如:
- ぐるぐる巡るさま
六三

即鹿无虞、惟入于林中。君子幾不如舍。往吝。
鹿に即くに虞なく、ただ林中に入る。君子幾にして舍むにしかず。往けば吝。
案内もなく鹿を追って林に入るようなもの。君子は兆しを見てやめる。進めば吝。
「虞」は協力者とすると、協力者を得ずに進もうとしていると見て良いでしょう。
- 虞:
- 山の道案内。
六四

乘馬班如。求婚媾往吉。无不利。
馬に乘りて班如たり。婚媾を求め往けば吉。利あらざるなし。
馬に乗るもぐるぐる巡るだけで進まない。婚姻を求めて進めば吉。良くないことはない。
六二と違い、婚姻を求めて進むことが吉となります。進むべき方向が見え始めた段階でしょう。
九五

屯其膏。小貞吉、大貞凶。
その膏屯す。小しく貞にして吉。大いに貞にして凶。
恵みが滞っている。小さく正せば吉。大きく正そうとすれば凶。
滞っているものの「膏」があります。行き悩んできたことが、身を結び始めたと見て良いでしょう。ここで大きく正そうとすれば凶となります。
上六

乘馬班如。泣血漣如。
馬に乘りて班如たり。泣血漣如たり。
馬に乗るもぐるぐる巡るだけで進まない。血の涙がとめどなく流れる。
もっとも行き悩みが深まった状態でしょう。
「その膏屯す」を大きく正そうとした結果かもしれません。
まとめ
各爻が行き悩みの中にあります。その中で内卦は協力者を得ること、外卦は行き悩みを落ち着かせることが軸になっている卦です。
卦の全体像
上六、馬に乗るも進まない。血の涙。
九五、膏が滞る。小さく正す。
六四、馬に乗るも進まず。結ばれれば吉。
六三、案内なく鹿を追い林に入る。
六二、馬に乗るも進まず。十年で実を結ぶ。
初九、岩で進めない。侯を建てる。
