䷣明夷
明夷は明(才)ある者が傷つく時を扱った卦です。
卦辞
明夷利艱貞。
明夷は艱しみて貞に利あり。
明夷は艱しみながらも正しくあれば良い。
爻辞
初九

明夷。于飛、垂其翼。君子于行、三日不食。有攸往、主人有言。
明夷る。于き飛びて、其の翼を垂る。君子于き行きて、三日食らわず。往くところ有れば、主人言あり。
明が傷つく。鳥が飛び行こうとしても、翼が垂れてうまく飛べない。君子が行こうとしても、三日は食にありつけない。行きたいところがあれば、主人から非難がある。
主人は明を夷る者、上六と思われます。明を夷る者から逃げる者と見て良いでしょう。
六二

明夷。夷于左股。用拯馬壯吉。
明夷る。左股を夷る。拯うに壯んな馬用うれば吉。
明が傷つく。左の股が傷ついた。壮んな馬の助けが得られれば吉。
「壮んな馬」は九三ではないかと思われます。
「拯うに壯んな馬」は渙・初六にもあります。
「拯うに壯んな馬」は渙・初六にもあります。
九三

明夷。于南狩、得其大首。不可疾貞。
明夷る。南に于きて狩し、其の大首を得ん。疾みて貞なれば可ならず。
明が傷つく。南へ行き狩をし、その大首を得る。ただし心が荒れたまま正すことはできない。
明を夷る者を討とうとする者と見て良いでしょう。
- 南:
- 上。
六四

入于左腹、獲明夷之心、出于門庭。
左腹に入りて、明夷の心を獲、門庭に出ず。
左腹に入り、明夷の心を獲て門庭より出ていく。
「明夷の心を獲」は上六の信頼を得ることでしょうか。腹心として明夷を生きる者と見て良いでしょう。
六五

箕子之明夷。利貞。
箕子の明夷る。貞にして利あり。
箕子のように自ら明を傷つける。正しくあれば良い。
六四と同じく明を夷る者の内にいますが、こちらは自身で明を傷つけます。
- 箕子:
- 殷の政治家。暴君・紂王の前で狂人のふりをし、奴隷に身を落とした。
上六

不明晦。初登于天、後入于地。
不明にして晦し。初めは天に登り、後には地に入る。
明がなく暗い。初めは天に登り、後には地に入る。
明を傷つける者とみて良いでしょう。
まとめ
上六が下の者たちの明を傷つけている時と読める卦です。
卦の全体像
上六、明なく暗い。初めは天、後には地。
六五、自ら明を傷つける。
六四、内に入り、明夷の心をつかみ、出ていく。
九三、狩して大首を得る。心が乱してはできない。
六二、左股が傷つき、壮んな馬に助けてもらう。
初九、君子が行っても、三日食にありつけない。
