䷺渙
渙は散る時を扱った卦です。
卦辞
渙亨。王假有廟。利涉大川。利貞。
渙は亨る。王、廟を有つを假る。大川渉るに利あり。貞に利あり。
渙は進んでいく。王が廟をたもつ役を担う。大川を渉るのに良い。正しくあれば良い。
「王廟を有つに假る」は萃・卦辞にもあります。
- 廟:
- 廟は祖先を祀る場であり、人が集まり思いを一つにする場とされていたと思われます。
- 假:
- 仮・借りる・借り受ける。借り受けるの意と見て、役を担うとしました。
爻辞
初六

用拯馬壯。吉。
拯うに壯んなる馬用う。吉。
初六、救われるのに壯んな馬を用いる。吉。
「拯うに壯んなる馬用う」は明夷・六二にあります。同じと見ると、九二が壯んなる馬と読めます。
九二

渙奔其机。悔亡。
渙にしてその机に奔る。悔い亡ぶ。
渙の中で、脇息にはしる。悔いがなくなる。
- 机:
- ひじかけ・脇息、身を落ち着かせる場の意。
六三

渙其躬。无悔。
その躬を渙らす。悔いなし。
その身を渙らす。悔いがない。
身を渙らすは、身から起こる情を渙らすとされています。
六四

渙其群。元吉。渙有丘。匪夷所思。
その群を渙らす。元いに吉。渙らば丘るあり。夷の思う所に匪ず。
其の群を渙らす。大いに吉。散ればあつまる。しかし常人には思い及ばない。
- 丘:
- 小高い山。あつまる意もある。
- 夷:
- 常人
九五

渙汗其大號。渙王居无咎。
渙にしてその大號に汗す。渙にして王に居るも咎なし。
渙の中でその大号令に汗をかく。渙の中であっても王で居て咎はない。
- 號:
- 叫ぶ。多くの人に命令する「号令」の意もある。ここでは号令の意としました。
上九

渙其血。去逖出无咎。
その血を渙らし、去りて逖く出ずれば咎なし。
その血を渙らす。遠くに去れば咎はない。
血を流し、散りゆく者、といったところでしょう。
まとめ
萃・卦辞と同じ「王廟を有つに假る」があります。渙は散る時を扱いますが、散ったあとあつめることもこの卦のテーマです。
卦の全体像
上九、血を散らし、遠くへ去る。
九五、大号令に汗。王であっても咎はない。
六四、群れを散らす。散ればまとまる。
六三、身を散らす。
九二、散る中で、脇息に走る。
初六、壮んな馬に助けてもらう。
