䷸巽

巽は内に入ること・へりくだることを扱った卦です。
(したがう意もあるとされますが、六十四卦にはがありますので、意を分けることにしました。)

卦辞

巽、小亨。利攸往。利見大人。
そんは、すこしくとおる。くところあるにあり。大人たいじんるにあり。
巽は小さく進んでいく。行くところがあると良い。大人に会うと良い。

爻辞

初六初爻
進退。利武人之貞。
すす退しりぞく。武人ぶじんていあり。
進んだり退いたりする。武人の正しさが良い。
態度が定まっていないと読めます。「武人の貞」は決める態度と見て良いでしょう。
九二二爻
巽在牀下。用史巫紛若、吉无咎。
そんして牀下しょうかり。史巫しふもちうること紛若ふんじゃくたればきちとがなし。
巽して床にいる。亨祀をくり返せば吉。咎はない。
「牀下に在り」「史巫用いて紛若」のどちらもへりくだる態度です。
牀下:
牀は寝台(安息の場)。牀下は床。牀の上ではなく、牀下にいるのはへりくだる態度。
史巫:
史は祭にたずさわる人、巫はみこ。亨祀の意と見ます。
紛若:
くり返す。
九三三爻
頻巽。吝。
しきりにそんす。りん
しきりに巽す。吝。
六四四爻
悔亡。田獲三品。
ほろぶ。して三品さんぴんたり。
悔いがなくなる。狩をすれば三つの品を獲る。
巽することで成果を得た、といったところでしょう。
九五五爻
貞吉。悔亡。无不利。无初有終。先庚三日、後庚三日。吉。
ていにしてきちにしてほろぶ。あらざるなし。はじめなくしておわりあり。こうさきだつ三日みっかこうおくるること三日みっかきち
正しくあれば吉。悔もなくなる。良くないことはない。初めは良くないが終わりは収まる。変更の前に三日は丁寧に検討し、後には三日ははかり考える。吉。
「庚に先だつこと…」は朱熹の読みに従います。 庚は十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)。
庚は変更の意。庚の三つ前は丁(丁寧)、三つ後は癸(はかる・見定める)。
蠱・卦辞に似た表現があります。
上九上爻
巽在床下。喪其資斧。貞凶。
そんして牀下しょうかり。その資斧しふうしなう。ていにしてきょう
巽して床にいる。それでは資金と斧を失う。正しくても凶。
資金と斧もある立場で巽するのは凶を招く、と読めます。

まとめ

内卦は巽する態度が扱われ、六四・九五は巽することで成果を得ますが、そのまま進めば上九に至る、と読める卦です。

卦の全体像

上九、巽して床にいる。資斧を失う。

九五、初めは良くないが、終わりには収まる。

六四、狩で成果を得る。

九三、しきりに巽。

九二、巽して床にいる。亨祀を繰り返す。

初六、進んだり退いたり。

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