履は履み行うことを扱う卦です。

卦辞

履虎尾不咥人。亨。
とらむもひとくらわず。とおる。
履み行えば虎の尾を履んでも食べられない。進んでいく。

爻辞

初九初爻
履素。往无咎。
もとよりむ。けばとがなし。
素直に履み行く。行っても咎はない。
九二二爻
履道坦坦。幽人貞吉。
みちみて坦坦たんたんたり。幽人ゆうじんていにしてきち
やすらかに道を履み行く。幽人の正しさがあれば吉。
坦坦:
広々・安らかの意。
幽人:
世と距離を置いて静かに暮らす人。
帰妹・九二にもあります
六三三爻
眇能視、跛能履。履虎尾咥人。凶。武人為于大君。
すがめにしてんとし、あしなえにしてまんとす。とらまばひとくらわる。きょう武人ぶじん大君たいくんる。
目が不自由なのによく見えるとし、足が不自由なのにうまく履めるとする。虎の尾を履めば食べられる。凶。武人が大君になるようなものだ。
「眇にして…」「跛にして…」「武人が大君…」は全て慢心と見て良いでしょう。
※「眇」も「跛」も歸妹の初九・九二に出てきます。
眇:
目が不自由な人
跛:
足が不自由な人
九四四爻
履虎尾、愬愬、終吉。
とらむも、愬愬さくさくたれば、ついにはきち
虎の尾を履むも、恐れて身を慎んでいれば、終わりには吉となるだろう。
九三との対となる文章です。こちらは恐れて身を慎んでいます。
愬愬:
恐れて身を慎む様
九五五爻
夬履。貞厲。
さだめてむ。ていなれどあやうし。
ためらいなく履み進んでいる。正しくても、危うさがある。
ためらいのなさに危うさがあるということでしょう。
上九上爻
視履考祥。其旋元吉。
しょうかんがう。それめぐるときはおおいにきち
自身の履み行いを視て禍福を考える。日々が規律正しくめぐっているのであれば、大いに吉である。

まとめ

内容を見る限り、「履」は今の言葉に言い換えると「ルーティン」でしょうか。
履めているつもりでいれば虎に食べられ、ためらいなく履むのも危うい。その上で、よくめぐれていれば大いに吉。
『易』では「履」が人生を左右するものとして描かれています。

卦の全体像

上九、履を振り返る。めぐれば吉。

九五、ためらいなく履む。危うい。

九四、恐れ慎んで履む。虎に食べられない。

六三、よく履めるとする。虎に食べられる。

九二、やすらかに履む。

初九、素直に履む。

互卦:家人綜卦:小畜錯卦: