䷱鼎
鼎は煮炊きに使う器であり権威の象徴です。祭りの中で、王が鼎を使い、神や参加者に供物をふるまうこともあったとされます。そうしたことから賢人を養うことを扱った卦ともされます。
卦辞
鼎元吉。亨。
鼎は、元いに吉。亨る。
鼎は大いに吉。進んでいく。
爻辞
初六

鼎、顛趾。利出否。得妾以其子。无咎。
鼎、趾を顛にす。否を出だすに利あり。妾を得て其の子を以てす。咎なし。
鼎の足を頂きにする。ふさぐものを出すには良い。妾から世継ぎを得るようなもの。咎はない。
鼎としては使えませんが、ふさぐものは出ました。
- 顛:
- いただき・一番高いところ。さかさまの意もあります。
- 妾:
- 正妻以外の夫人・侍女
九二

鼎、有實。我仇有疾。不我能即。吉。
鼎に実あり。我が仇疾むことあり。我に即く能わず。吉。
鼎に実がある。敵に憎まれることもあるが、近寄ることはない。吉。
- 実:
- 食べもの。価値あるモノ
九三

鼎、耳革、其行塞。雉膏不食。方雨虧悔。終吉。
鼎、耳革まり、其の行塞がる。雉の膏食われず。方に雨らんとし悔いを虧く。終には吉。
鼎の耳が取れ、道がふさがる。雉の脂も食べられない。いずれ雨がふれば悔いが欠け、終わりには吉となる。
中に雉の脂はありますが、鼎が使えず食べられません。ただ「方に雨らんとし」が続きます。いずれ上の者と交わる時がくると読めます。
- 雉の膏:
- おいしいもの。価値あるモノ
- 雨:
- ⚊と⚋が交わる象
九四

鼎、折足、覆公餗。其形渥。凶。
鼎、足を折る。公の餗覆す。其の形渥たり。凶。
鼎の足を折り、公の餗をひっくり返す。重刑だ。凶。
無理に鼎を使おうとした、といったところでしょうか。
「形渥」は朱熹に従い重刑とします。
(最古の易である『帛書易』では“形”は“刑”となっており、こちらも重い罰の意となります)
「形渥」は朱熹に従い重刑とします。
(最古の易である『帛書易』では“形”は“刑”となっており、こちらも重い罰の意となります)
- 餗:
- こながき。ごちそう
六五

鼎、黃耳金鉉。利貞。
鼎、黄耳金鉉なり。貞に利あり。
鼎に黄の耳と金の鉉がついている。正しくあれば良い。
鼎が使える状態です。
- 黄:
- 中の色
- 金:
- 金属。青銅
- 鉉:
- 両耳に通し、鼎を運ぶための棒とされます。耳についた環とする人もいます。
上九

鼎、玉鉉。大吉、无不利。
鼎、玉鉉なり。大いに吉にして、利あらざるなし。
鼎に玉の鉉がある。大いに吉。良くないことはない。
鼎が使えるだけでなく美しい、といったところでしょう。
- 玉:
- 翡翠
まとめ
鼎が整えられ、使えるようになることで、中にあるモノが活かせるようになります。鼎を国、中身を賢人に変えて読まれる卦です。
卦の全体像
上九、鼎に玉の鉉。
六五、鼎に黄の耳と金の鉉。
九四、鼎の足を折り、ごちそうが台無し。
九三、鼎の耳が取れ、使えない。
鼎に中身がある。憎まれても近づいてこない
鼎の足を上にする。詰まりを出す。
