䷼中孚
中孚は中に孚があることを扱った卦とされます。
卦辞
中孚、豚魚吉。利涉大川。利貞。
中孚は、豚魚にして吉。大川渉るに利あり。貞に利あり。
中孚は、豚や魚であっても吉である。大川を渉るのにも良い。正しくあれば良い。
豚魚の解釈は様々です。ここでは豚は⚊、魚は⚋の象とし、人でなくても吉とする説に従います。上等ではないお供えと見る説もあります。(豚と魚は姤にも出てきます。)
爻辞
初九

虞吉。有它不燕。
虞んずれば吉。它あれば燕からず。
安らかでいれば吉。心移りがあれば安らかではいられない。
孚があっても動かない、といったところでしょうか。
- 它:
- 他。ここでは心移りと読めます。
九二

鳴鶴在陰。其子和之。我有好爵。吾與爾靡之。
鳴鶴陰に在り。其の子これに和す。我に好爵あり。吾爾と與にこれに靡かれん。
陰で鶴が鳴く。その子も和して鳴いている。私には好い爵がある。私はあなたとともにこれになびかれたい。
思いの吐露ですのげ、孚を共にする人にまだ会えていないと見えます。
- 爵:
- 酒を入れる器。ここではお酒の意で使われています。
六三

得敵。或鼓、或罷、或泣、或歌。
敵を得たり。或いは鼓し、或いは罷め、或いは泣き、或いは歌う。
敵を得て、鼓を叩いたり、止めたり、泣いたり、歌ったりする。
孚を共にしたい人に相手(敵)がいる、といったところでしょうか。
六四

月幾望。馬匹亡无咎。
月望に幾し。馬匹亡うも咎なし。
月が満ちかけている。馬を一匹亡うも咎はない。
九五

有孚攣如。无咎。
孚ありて攣如たり。咎なし。
孚があり、つながる。咎なし。
「孚ありて攣如たり」は小畜・九五にもあります。同じように見ると、六四と孚を共にしていると読めます。
上九

翰音登于天。貞凶。
翰音天に登る。貞なれど凶。
鳥の羽ばたく音が天に登っていく。正しくても凶。
“正しくても”ですので、孚はあるも、分に合わないといったところでしょうか。
- 翰音:
- 鳥の羽ばたく音。鶏とする節もあります。
まとめ
内卦は孚があっても叶わず、六四・ 九五は叶い、上九は分を超えた、と読める卦です。
卦の全体像
上九、羽ばたく音が天に登る。
九五、孚があり、つながる。
六四、月が満ちかけている。
六三、鼓を打ち、止め、泣いたり、歌ったり。
九二、共に良い酒になびかれたい。
初九、安らかでいれば吉。
