大畜たいちく

大畜は大いにとどまる・やしなうことを扱った卦とされます。 六十四卦には小畜もあり、共通するのはがとどまることです。

卦辞

大畜利貞。不家食吉。利涉大川。
大畜たいちくていあり。家食かしょくせずしてきち大川たいせんわたるにあり。
大畜は、正しくあれば良い。家業をせず仕えるのが吉。大川を渉るのも良い。
家食せず:
家業をせず仕えること

爻辞

初九初爻
有厲。利已。
あやうきことあり。むにあり。
危ないことがある。やめるのが良い。
九二二爻
輿、說輹。
輿ふくく。
輿の輹を解く。
卦辞の「家食せず」の態度と見て良いでしょう。
輹:
車軸を脱輪しないように固定する革ひも。解けば輿は使えない。
九三三爻
良馬逐。利艱貞。曰閑輿衛、利有攸往。
良馬りょうばう。くるしみてていあり。輿衛よえいならえば、くところあるにあり。
良馬を追う。苦しみながらも正しくあれば良い。日頃から輿衛をならっていれば、行くところがあれば良い。
初九・九二は進むことを止めますが、九三は良馬を追います。ここで問われているのは、日々の輿衛です。十分な備えがあれば、進んで良いとします。ただし、「艱しみて貞に利あり」とありますので、良馬を追うことは苦しい道のりであることがうかがえます。
良馬は「モノにできていない力」といったところでしょうか。
輿衛:
馬車を操ったり守ること
六四四爻
童牛之牿。元吉。
童牛どうぎゅうこくおおいにきち
童牛に横木をつける。大いに吉。
牿は角(力)を制御している様と見て良いでしょう。
牿:
角につける木。人を傷つけないためとツノが折れないためにつける。
六五五爻
豶豕之牙。吉。
豶豕ふんしの牙。きち
去勢した豚の牙。吉。
落ち着いてはいますが牙はあります。力を制御できる状態と読めます。
豶豕:
去勢した豚
上九上爻
何天之衢。亨。
てんちまたになう。とおる。
世の道が交差する場所をになう。進んでいく。
力の制御を習得し、大任につくといったところでしょう。
天の衢:
世の道が交差する場所

まとめ

初九・九二は止まります。九三は進みますが、問われるのは日々の輿衛です。
六四・六五の牛とブタの力を制御する姿もまた、輿衛に通じるようにも思えます。
そしてその先に「天の衢を何う」です。大畜は、力をどう制御するかを扱った卦と読めます。

卦の全体像

上九、大任につく。

六五、去勢した豚の牙。

六四、童牛の牿。

九三、良馬を追う。

九二、輹を解く。

初九、危うい。進むのをやめる。

互卦:歸妹綜卦:无妄錯卦: